京仏壇の知識
1.京仏壇の特徴
 
 京仏壇は、平安時代以来の優れた伝統技術を背景に、高い工芸技術をもつ八職(木地職・宮殿職・彫刻職・塗職・箔押職・蒔絵職・金具職・組立職)に分業化された製造工程で造られています。さらに、京都は各宗派の本山が多く、京仏壇は各宗派の形態を忠実に再現しており、各部の細工が精巧なことが大きな特色とされ、伝統工芸品としての格調の高さと誇りを持った最高級の仏壇といえます。
 
 2.京仏壇(金仏壇の構造)
 
 京仏壇の構造は、お寺のご本堂のお内陣のお荘ざりをそのまま小さくして、箱の中に入れた形となっております。この小さなお内仏の中に、お寺の仏具と同じ数の仏具がご荘厳(しょうごん)されます。
 京仏壇には二重の扉が付いており、外側の扉を雨戸といい、本堂の外扉にあたります。また、内側の扉は障子と呼び、本堂内陣と外陣を隔てる折障子にあたります。その内部には、ご本尊を安置する須弥壇(しゅみだん)と宮殿(くうでん)がみられます。
 
 (1)須弥壇(しゅみだん)
 
 御本尊を安置する壇を須弥壇といいます。元来箱型であったものが、鎌倉時代の禅宗の渡来と共に上下の框が広く、中央に行くにしたがって細くくびれた形式が伝えられてきました。これを禅宗様(唐様)須弥壇といいます。旧来の箱型は和様といいます。須弥壇は須弥山(しゅみせん)という、仏教の宇宙観に基づいて考えられた巨大な山を表しています。その総高さは16万由旬(ゆいじゅん)。半分は水中にあるといわれています。水上に出ている高さだけで56万2千qというすごい高さの山です。お内仏の須弥壇はたかだか15p程度のものですが、表わそうとしているのはそのような高い所から、阿弥陀様の光がこの世の隅々にまで照らされているということです。
 なお、真宗大谷派の須弥壇の特徴は、上下框(かまち)とも唐戸面造り(からとめんつくり)であるという点です。
 
 (2)宮殿(くうでん)
 
 ご本尊の阿弥陀如来さまがおられるお浄土の美しい宮殿の楼閣を模したものを宮殿(くうでん)といいます。宮殿には扉がないのが特色です。大谷派の宮殿は、二重屋根八棟造(にじゅうやねやつむねづくり)と呼ばれ、上屋根は千鳥破風(ちどりはふう)、下屋根は唐破風(からはふう)になった優美なデザインです。二重屋根のお宮殿は他宗派にはまったく見る事ができない大谷派独特のものです。柱の数は10本。黒漆塗りで、金具が三段に打ってあります。金具と金具の間には葵散し(あおいちらし)という金具を打ちます。屋根及び屋根框等黒漆塗の部分が多く、面を取った部分には金箔を押すという「面金仕上(めんきんしあげ)」になっています。これも真宗大谷派の特徴です。
 
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お仏壇の宮殿