お花を立てる真ちゅう製の器で、「かびん」と同じ字ですが「かひん」と宋音で読みます。花瓶には丸型と角型があり、丸型には鰭(ひれ)付と耳付が有ります。ただし、在家用のほとんどは丸型です。丸型鰭付花瓶は鰭を正面にして、三具足の場合は左端に、五具足の場合は左右両端においてください。 お花は、正式には一対ですが、平常は三具足(灯香花)ですからご本尊に向かって左に一つで良いのです。なお、いのちのない造花や毒花、トゲのある木花、つるに咲く花はお供えいたしません。
花瓶は、各尊前に用いる花を挿す器で、鰭付は鰭を正面に、角型は角を正面にして置きます。近年その胴に牡丹紋と八藤紋を入れたものがみられますが一応、八藤紋を内側とするよう置きます。丸型には鰭付と耳付の二種類がありますが、耳付花瓶は本来阿弥陀堂で使用されるものであるために三具足の際は用いず、五具足の場合に限られています。 大谷派の立花は、池坊華道により発達したもので、普通の生花や盛花・投げ挿し等とは、趣の違ったいわゆる立花式の挿し方を正式とします。各法要には、それぞれの季節の花を選んで立花します。なお、宗祖聖人その他の御遠忌や、本堂の落慶・遷仏の法要・仏前結婚式等の場合には、特に「松一式」と称して、松の枝を細工して朱と胡粉で僅かに着色した松のみの立花とすることもあります。