9 三具足(みつぐそく)・五具足(ごぐそく)(1) 三具足・五具足 お仏壇の中で最も基本となるお仏具で、前卓の上におきます。蝋燭(ろうそく)をともす燭台(しょくだい)、お花をたてる花瓶(かひん)、お香をたく香炉(こうろ)の三点を総称して、三具足といいます。ご本尊を三具足でお荘厳すれば、それでお内仏となります。
(2) 三具足・五具足の荘厳三具足は、前卓の上へ、香炉を中心に燭台を向かって右、花瓶を左に置きます。五具足は、香炉を中心に左右に燭台、その外側に花瓶を置きます。大谷派では「中尊前」の前卓上には金香炉は置かず、透かしの青磁土香炉を置きます。 |
【五具足の荘厳】 |
【三具足の荘厳】 |
(3) 三具足・五具足の関連知識 「香・華・灯」を供養するのはインド以来の伝統ですが、この三つを組み合わせて現在のように一つの台または同じ卓上に並べる形式は、中国の宋時代に始まるといわれています。わが国では、室町時代に宮廷貴族や武家の間で社交的な会合として、和歌などの歌会や闘茶の会などが定期的に催されるようになり、その会合のための会場は「会所」と呼ばれていました。この「会所」の座敷の上段の間につくられた「押板」や「違棚」「付書院」などを飾る置物としてさまざまな唐絵や唐物が飾られるようになり、会所座敷の掛軸前の押板の上の飾り物として「三具足」が用いられるようになりました。初期の頃は、仏前に飾る仏具ではなく「室飾り」として用いられていたことが絵巻物などで知ることができます。やがてこの「押板」は建物に固定されるようになり、はめ込み式となり、さらに「床の間」へと発展していきました。現在でも、床の間に香炉を置き、花を飾る習慣はこの「三具足飾り」の名残といわれています。 |