(3) 前卓の関連知識
寺院用の中尊前の前卓には、阿弥陀堂型(三重地覆)と御影堂型(二重地覆)の二種類があります。本山の阿弥陀堂の須弥壇前に置かれる卓が阿弥陀堂型と呼ばれ、御影堂の親鸞聖人を安置する須弥壇前に置かれる卓が御影堂型です。末寺においては、好みと予算で阿弥陀堂型、御影堂型とも中尊前前卓として使われています。また、末寺の祖師前、御代前には、御影堂型前卓の脚を短くした祖師前前卓が使われ、御代前の前卓としても用いられています。御影堂型前卓の腰の彫りは菊水彫りです。本山においては、各壇上における前卓はすべて一重地覆の余間卓で、腰の彫りは蓮水彫りです。
前卓は文机を原形としているために筆返しが付いていますが、打敷を掛ける場合には、甲板についている筆返しを外して打敷を掛け、下水板(げすいた・建水板ともいいます)をのせます。収納の関係で、末寺の卓には下水板に着脱可能な筆返しがついています。この場合、打敷を掛ける際には筆返しを外して下水板を裏返して使用します。
中尊前の前卓では、その高さから打敷だけでは脚部が露出するため、卓の胴に水引を巻き打敷を掛けますが、祖師前、御代前では水引は使用しません。
なお、下水板(げすいた)は化粧板がなまったものと言われています。
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