1 上卓(うわじょく)

(1) 上卓

 ご本尊の前、須弥壇上にのせるお机を「上卓」といいます。
 普通の卓は、文机の名残で、机の両端にそりを付けて、筆が転がり落ちるのを防ぐ役目をする筆返しという形を部分的に残した形式を踏襲していますが、上卓は護摩壇の系統を引くため、常に筆返しがありません。

 【仏供と仏器台】
 法然上人絵伝(1237年)に春日卓(かすがじょく)に華瓶一対・火舎香炉一個・六器などの密壇具の置かれた絵があり、初期の浄土系の宗派で使用された可能性があります。
【略型上卓に荘厳したところ】
(3) 上卓の関連知識

 上卓は、小型のお仏壇の場合には置くスペースがありません。上卓のない場合は、お仏供を1個、仏器台に置きます。

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【本山型上卓】 
 (2) 上卓の荘厳

 上卓の荘厳は、本来護摩壇の形式に由来するといわれ、華瓶一対、仏供一対、香炉一対(火舎一つに略す)という真言の半護摩壇の形を採用します。したがって、上卓の上には火舎香炉を中心にして、華瓶を前方両端に置き、お仏供は火舎香炉の両脇に供えます。大きな法要や行事の時には、打敷を掛けます。

【春日卓と密壇供−法然上人絵伝−】